FOX Umbrellas
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ブランドストーリー
傘の歴史
雨の日に傘を差す、ということがヨーロッパで一般にひろまったのは、そう昔のはなしではない。アンブレラ(傘)は、ラテン語のアンブラ(影)を語源とする、ということは良く知られている。すなわち傘の起源は日傘であった。紀元前1000年ごろのエジプトにおいて、権力者たちはこの日傘、(というより天蓋)を従者にさしかけさせ、これにより自身の威光を大衆に示した。ヨーロッパに渡来して後も、永く富の象徴であり、またレディの持ち物であった。この高貴な小道具を、現在の「便利な雨具」へと進化させたのは、英国の哲学者であり、旅行家であったジョナス・ハンウエイであった。1700年代中ごろ、彼は油を染み込ませた“雨用の”傘を考案し、それをさしてロンドンの町を30年間も歩き続けたが、世間からは変人として扱われ、ついに彼の存命中には雨傘は普及しなかった。女性の持ち持ちとされていた傘を、男性は雨の日には帽子で雨をよけるのが当たり前で雨具として男が傘を使うのはペチコートを着るのと同じだというほど奇異に思われる時代にその大胆さは変人扱いされても不思議ではなかった。
傘の進化
傘が、現在の形を成すのは、18世紀も終わりのころであり、そのころには現在も残る傘の名店が、ぼつぼつ創業を始める。そのころの傘の構造は、鯨の骨で作った、ほぼ10間(骨が10本)の絹、または綿張りで、ハンウエイのころより小型になったとはいえ、まだまだかさばる代物だった。このころ傘は依然としてステイタスシンボルであり続けた。ジョージ・ボローは、「・・・・・それ以上に、傘を携えているということ自体が、尊敬に値する人物であることの証拠になるのを、誰が疑うだろう?尊敬に値する人物は他の人が傘を持っているのを見て、その人物が彼からなにも奪わず、正義の人であると判断する。なぜなら、泥棒は決して傘を持ったりしないから。人格の保証人になってくれるのが傘である。最良の友人の中に、傘を数え入れなければならない。」と彼の著書「傘の歴史」で述べている。
フォックス傘の誕生
フォックス・アンブレラズ社がトーマスフォックスによりロンドンの金融街シティに設立されたのは1868年。未だスティールのフレームは開発されておらず、日本は慶応から明治に改元の年であった。フォックス・アンブレラズ社は、そのオーナー、代が変り行くも、常に傘の名店として、傘の歴史に足跡を印しつづけた。1800年の終わりごろに考案した角断面のパイプを用いた初のスティールフレームとその後その改良版として登場したU字断面のスティール部材によって、傘は実用品として量産が可能となったのである。現在、このフォックス考案フレームを使用しない傘は見つける事は難しい。また、戦後間もない1947年、戦時中武器降下用に小型のパラシュートを製作していたフォックス・アンブレラズ社は、その残材ナイロンを利用して、世界で始めて化学繊維の傘を開発する。このことにより、フォックスの傘は、より細く、紳士必須のステッキに近付いたわけであった。日本でのフォックス
日本にフォックスが登場したのは、設立間もない明治時代であったらしいが、記録はない。ただ、欧米列強に追いつけ追い越せの当時洋装の最先端であった英国ファッションを、小物からすべて模倣しようとしていたことは想像に難くなく、紳士必須の小道具として傘が持ち込まれたのはむしろ自然なことと思われる。その後、記録によれば、大正6年にフォックスは早くも日本国内で商標の登録を完了している。日本が当時既にかなり重要なマーケットであったことの証左であろう。最近では1998年ごろまで、老舗の商社が代理店となりフォックスの輸入が行われていたが、その商社解散後は、特定の代理店がなく、昨年の日本法人設立まで、各店舗の直輸入に頼っていた。フォックスの製品ラインナップ
現在のフォックス・アンブレラズ社のラインナップは、看板の細巻き「Tube」シリーズ(直径8mmのスティールパイプに焼き付け防錆塗装をほどこしたもの)を筆頭に、クラシカルな木製シャフトの「Stick」シリーズ、ハンドルから先端の石突までを、ステッキ職人が一本の材から作り出すシャフトを使う「Solid」シリーズなど、使用状況、服などによって使い分けることができる豊富なレンジを誇り、それらすべてが創業時からの伝統を今に伝える完全な手作りである。傘の顔、ともいえるハンドルは、それぞれの木目を活かしたナチュラルウッド、レザーからスターリングシルバー(純銀)、鳥や動物などをかたどったものなど、100種以上、また傘地は基本のナイロン地各色加え、季節ごとに展開される新色、柄物を多く揃える。通常、これらすべてが製品化されて同時に店頭に並ぶことはまずないが、時のファッション、市場動向などにあわせたラインナップを展開している。
フォックスの特長
現在フォックスでは、25インチ、21 1/2、20インチの3種類のサイズ(親骨の長さ)バリエーションを持つ。25インチが紳士用、他は婦人傘である。傘の寸法については、いつごろ、どのようにして決まったものか定かではないが、上方より降り注ぐ雨を傘地の表面上で如何に飛散させずに受け止めて傘の直径外に流されるか、で傘のR、およびサイズは自ずから限定される。ただ、全長に関しては、ちょっと違う寸法の要素がある。すなわち、傘の全長の決め方は、ステッキのように任意の長さを切って使うことはもままならないので、およその平均サイズに落ち着いているのが現状だ。ただ、かつて、日本に輸入されたものの中には、日本人の当時の平均身長を考慮し、エンド部分(傘の先端)を2インチほど切り詰めたものもあった。また、婦人物については、実用性もさることながら、開いたとき、および閉じて巻き込んだときの形のエレガントさ、美しさも寸法決定の大きな要素になっている。
フォックスは、化学繊維を傘地に採用したパイオニアとの自負から、今もほとんどすべての製品にオリジナルのナイロン素材を用いている。コットンやポリエステルなどの例外も少しあるが、基本的にシルクは使用しない。レイ・ギャレット現フォックス・アンブレラズ社社長によれば、シルクには好ましい特徴がいくつもあるが、いずれも現代の傘地としては不十分だとのこと。例を挙げよう。もともと傘地の最高級素材としてシルクが珍重されたのは未だ防水加工技術が確立される以前のことで、その繊維の細さから、その当時最も目が詰んだ素材であったからに他ならない。いまでは、シルクといえども必ず防水加工を施すので、その良さである“風合い”を味わうことは不可能である。また、かつて傘のほとんどが黒色であった時代は問題なかったが、現代のように色、柄が要求される時代にあっては、傘地としてのシルクの発色には、問題が多く残る。まだある。曰く、対摩擦性に乏しい、価格が高い(最もこの点に関しては、難点とばかりはいえないが)。
フォックスのフォルム
傘地の縁に縫いがなく、大変シャープな印象を与えるのもフォックス製アンブレラだけの特徴である。現在傘つくりの名店としていわれる多くの店では、自店の傘の特徴として、フォルムの美しくさを挙げるところが少なくない。この場合のフォルムとは、もちろん傘を開いたときのフォルムである。FOXは、これに加えて閉じた時のフォルムを自慢している珍しいメーカーでもある。開いた傘のフォルムは、その美しくさだけでなく、雨を防ぐという本来の目的のため、おのずと微妙なRが要求される。俗に言う、高性能は美しい、というアレである。ところが、収納時の姿に関しては、いわゆる傘の出番待ちの状態であるためか、あまり問題にされることがない。他の国はいざ知らず、こと英国に関する限り、こんな傘は傘の機能の半分しかみたされていないと判断される。なぜなら、英国人、特に英国紳士にとって雨を防ぐ、という機能は傘の機能の半分でしかないからだ。では、あとの半分は何かといえば、答えはステッキである。英国紳士にとって、傘の半分はステッキである、ということが理解できれば、彼らの傘の扱い方、または英国製の傘そのものをほぼ理解した、といえる。たとえば、ステッキとして、傘を日常的に携行しようと思えば、これを可能な限り細く巻くは陶然のことであ。しかるに、傘を細くきりりと巻くことは、思う以上に技術を要する作業であって、ここにその道のプロが誕生する。アンブレラローラーという職業は、だから戦前までのロンドンには普通にあった。巻かせた客の側からすれば、対価を支払ってまで細く巻いた自慢の傘である。少々の雨などで開くわけにはいかない。すなわち、その傘を大きく打ち振り、辻馬車、またはタクシーを停めて家路を急ぐ、ということになる。この他にも腕にハンドルトを掛けて携行する場合のハンドルの向き、パブなどで傘に心持寄りかかった姿勢で立ち飲む場合の見苦しくない姿勢、など、傘およびステッキの取り扱いについて、かの地では常識ともいえる扱い術が確立されている。いずれも、FOXという細巻きの傘あってこそ確立された英国固有の文化といってよい。
フォックス・アンブレラズ・ジャパン
フォックスの傘は、本社創立直後の明治年間に、既に日本に輸入されていたようです。当時先端であった紳士の洋装用の小道具として、洋傘は無くてはならないものだったのでしょう。また、大正6年には、早くも国内での商標登録を完了しており、このことからも、当時既にかなり本格的にフォックスが輸入されていたことが伺いしれます。最近までフォックスは、かつてあった老舗の商社が永く輸入業務を行っていましたが、同社の解散にともない、代理店不在のまま、各小売店が個々に直接買い付けるという形態が5年ほど続きました。その間、商品スペックも、上代設定も各小売店まかせ、という状態で、日本市場におけるフォックス製品のイメージは甚だしく統一を欠く事になりました。これを反映するかのように、販売実績も僅かながら下降を続け、ここにフォックス社は日本での展開の再構築を決定。2003年夏に日本への再上陸を果たしました。
フォックス・アンブレラズ・ジャパンは、ブランドマーケティングと商品戦略により、5年間の代理店不在期間中に希薄となったブランドイメージの再構築と、今後に向けての新マーケットに対応する新規商品の開発を主たる業務とします。
またフォックス・アンブレラズ・ジャパンではいままで日本の顧客の手に渡ったすべてのフォックス製品の修理を承っています。これは、「一生使い続けられるクオリティを持つ本物の英国ハンドメイドプロダクツは、そのメンテナンス体勢が整って、初めて真価を発揮できる」との考えからで、さらには早い時点で製品として完成していたフォックスだからこそ、パーツの互換性の問題もなく、今も修理が可能なのだ、ともいえます。
英国フォックス社(FOX UMBRELLAS Ltd.)
創業1868年(明治元年)。トマース・フォックス(Thomas Fox)が英国ロンドンの金融街シティで創業。以来130年以上の長きにわたり、英国紳士必携の細身傘として、英国はもとより世界中で最も有名な傘ブランドとして認知されてきた。トーマス・フォックスは、事業開始後ほどなくしてビジネスをサミュエル・ディクソンに譲渡し、以後3代にわたり、ディクソン家がフォックスビジネスを発展さることになる。ディクソン家3代目のジューン・ディクソンは、業界で“マダムアンブレラ”と呼ばれる名物社長であったが、2000年に引退。同年、同社取締役のレイ・ギャレットは、1980年に当時のT FOX社に入社後同社取締役として、FOXのすべてを熟知していた。RJ Royal &Sons社は、2003年に、FAX UMBRELLAS LTDと社名変更する。
FOXの最大の特徴は、創業以来変わることなく、すべての工程がクラフトマンによるハンドメイドで一本一本製作されるために生まれる独特のテイスト。いまや世界的に傘の素材の常識となったスティールフレームとナイロンカヴァーはともにフォックスの開発になるものであり、これから生まれる、畳んだ状態での細くニートなシルエットこそフォックスの真骨頂。
また「ソリッド」と呼ばれる最高級ラインは、シャフトとハンドルを一本の木から削り出すもので、ステッキ製作の技術を駆使して、熟練した職人の手により製作される。また、普通は、外注に頼ることの多いパーツ製をも、全て自社の関連企業で行うことにより、品質管理が行き届き、リペアの体制も充実している。第2次世界大戦で使用されたナイロン製のパラシュートクロスを始めて傘に採用したのもフォックスで、その長い歴史の中にも革新的な技術を取り入れることを忘れてはいない。愛用者のリストには、英国王室のメンバーや典型的な英国紳士は無論のこと、サッチャー元首相などの女性セレブリティもその名を連ねている。
今回の上陸では、特にレディスラインを充実させるべく、旧来の伝統であるカラー、ブラックはもとよりカラフルなバリエーションも充実し、その伝統的なエレガントさに、より彩りを添えるものとなっている。
代表取締役CEO レイ・ギャレット (Ray Garrett)
1944年 英国イーストヨークシャー生まれ
1965年から15年間オースチンリードに勤務。1980年よりT FOX & Co 勤務。1999年先代のオーナー、ジューン・ディクソンの引退に伴いFox社の製造部門を買収。
フォックス製品の修理について
フォックス・アンブレラズ・ジャパンでは、英国フォックス社の日本総代理店という性質上、すべてのフォックス製品について修理を承ります。フォックス製品は、当初より完成度が高く、ほとんど内容が変わっていないので、パーツもほとんどが流用できます。ただ、カバー(傘地)については、流行もあり、必ずしも当時のものと同じものがご用意できるとは限りませんが現行品の中からお選び頂ければおつくりします。
工賃につきましては、別途お見積もり致します。ただ、古いものに作業を施すわけですので、必ずしもお客様が想像され、依頼される内容では済まないことも多くあります。そこで、以下の価格はあくまで目安とご理解いただき、必ず修理現場からの見積もりを提示し、その後作業に掛かることとなります。
FOXの修理受付について
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保証対象内の修理については、当店までの送料はお客様ご負担となります。当店・フォックス・アンブレラズ・ジャパン間の送料は不要です。
保証対象外の修理については、元払いにてお送り頂きます。返却時の送料等もお客様負担となります。
使用上の注意とメンテナンス
フォックス・アンブレラズ専用ラッピング
せっかくお買い求めいただいたフォックスのアンブレラは、お持ち帰り頂く間も楽しんでいただきたい。そんな想いで製作した専用の持ち帰り用ラッピングです。黒色不織布製の本体に、フォックス・アンブレラズのロゴマークが前面に入れられ、赤のグログランリボンが華やかさを添えます。
リボンはそれぞれに予めミシン留めされています。本体サイドより商品を入れ、リボンを美しく結ぶだけで、受取り人の満足度を高めるプレゼント用ラッピングが完成します。梱包された商品は、中央部分を持つことも、また本体にあけられた切込みを利用して中のアンブレラのハンドルを袋の上から持つことも可能です。
全長:950mm 全幅180mm メンズ・レディース兼用
※ご注文の際に“ギフトサービスを利用する”にチェックを入れてお申し込み下さい。