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ALDEN Vチップ
NATORIYA
アルガンコンVチップ 特集!

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Vチップ誕生秘話


北米のALGONQUIN族(アルガンコンまたはアルゴンキン)は、かつてアメリカ大陸で最大規模の先住民族インディアン部族でした。彼らは現在のメイン州を起点にしてマサチューセッツやニューヨーク、そしてミシガンやウィスコンシン、ミネソタなど、アメリカ北東部の広大な土地を自らの領土としていました。彼らの生活スタイルは、1日に約100kmを歩いて畑の管理を行っていたそうです。そのアルガンコン族が履いていた「インディアンモカシン」という靴のスタイルが大流行し、オールデンが得意としていた矯正靴「モディファイドラスト」にそのデザインが取り入れられました。ただし、オールデンは単なるユーチップでは飽き足らず、つま先にスプリットトウを加えてVチップのデザインに仕上げました。これが現代まで続くアルガンコンVチップのデザインの始まりと言われています。(写真はイメージ)

オールデンVチップ特集

 

 

NATORIYAが取り扱うまで

もう30年〜40年以上前(いやもっと?)になると思います。まだ日本にオールデン正規輸入元が存在していない時代。当時取引のあった業者さんから偶然オールデンを紹介されました。その頃は並行輸入品しかなく、少しずつ分けてもらっていました。その中にモディファイドが登場する以前のトゥルーバランス製Vチップがあり、それが当店では最初のアルガンコンだったようです。そこから輸入業社が転々として、いよいよ正規輸入元が日本に誕生したと同時に取引を申し込みました。

当時としても破格の革靴であり、しかも今ほど情報が豊富ではない時代です。しかもど田舎(笑)。そう簡単にオールデンが売れるわけはありません。最初の頃は、なかなか売れることがなく、大変でした。しかし、そのポテンシャルの高さには不思議と自信が持て、魅力さえ伝われば必ず販売に結びつくと信じていろいろ模索していた時代でした。ようやく時代が動き出したのは、モディファイドラストのVチップが登場してからになるでしょうか。その履き心地の良さに気がついた靴ファンがこぞって履き出すようになり、専門誌でも次第に取り上げられる回数が増え出すと、一気に認知度が高まりました。インターネットもない遥か昔の牧歌的な時代の楽しい思い出です。


 
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木型が独創的かつ合理的

モディファイドラストは、最大の特徴として土踏まずのくびれを持っています。このくびれは単なる形状だけでなく、足裏にアーチを作り出すことでリフトアップも行います。これにより、足は自然に親指の方向に向かって三日月状の曲線を描くようになります。その結果、自然な足の形状を再現するために、通常の靴よりも強いカーブが描かれていることが分かります。しかし、これを履くと非常に快適であり、長時間履いていても疲れにくいのです。そのため、一部の感度の高いコアユーザーからは、ビスポークシューズを作るよりも「Vチップを買っておけ!」と言われるほどです。現代でもこの名作を手に入れることができるのです。
オールデンアルガンコンVチップ特集
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常識を覆す使い勝手の良いスタイリング

何十年にわたり、Vチップは世の中を席巻し続けていますが、よく考えるとこれはすごいことです。世の中の洋服デザインはトレンドと呼ばれるものがあり、その年代ごとにスタイルがコロコロと変化します。当然、多くの靴メーカーもそのトレンドに乗って、コーディネートに映える靴デザインを提供しますが、次第に廃れていくのが一般的です。しかし、オールデンの靴はこの常識を覆し続けています。時代が変化し、洋服のスタイルが変わろうとも、いつの時代でもオールデンを履けば間違いなく決まるという魔法を見せてくれます。さらに、オフィスシーンでもプライベートでも履ける対応範囲の広いドレスシューズという点でも、これまた常識を覆すようなコーディネート能力を発揮しています。多くのファンがこぞってオールデンを愛する理由はそんなところにも理由があるのです。(スーツにもデニムにも合う靴なんてそうそう無い!)。
 
 

足入れ感は時とともに洗練される

オールデンのモディファイドラストは、長時間履いていても疲れにくいと言われています。その内部構造の一端をご紹介します。インソールとアウトソールの間には、肉厚なコルクが挟まれています。体重がかかることで、コルクは少しずつ沈み、オーナー個人の足裏の形状に合わせて変化していきます。ですから中古品を選ぶなんてことは考えられません。それは見た目だけを重視し、本物の価値を知らずに過ごしている無駄な行為に等しいのです。新品を購入し、長くその靴と付き合いながら自分自身と一緒に成長していくことで、独自の履き心地の良さを手に入れることができます。それは何物にも代えがたい喜びをもたらすでしょう。(これはモディファイドラストの靴だけに限らずほとんどのgoodyear weltedシューズに共通する認識です)
 

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希少価値が高まり続けるコードバン

オールデンと蜜月関係にあるホーウィン社が手がける多くのアッパーレザー。中でも馬の臀部の一部からしか採取できない「シェルコードバン」と呼ばれる部位は、昔では潤沢に採取できていましたが、現代では超希少部位となってしまいました。そんな希少なレザーをオールデンでは、毎朝のように社長自らを中心としたチームが革厚や革質をチェックし続けており、オールデンクオリティに達しない革は妥協することなく排除しているそうです。

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結果的に供給量は年々減少し、その一方で価値は高まり続けているというのが現状です。そんなホーウィン・シェルコードバンのアッパーエイジングの面白さもオールデンファンの魂を揺さぶり続けています。オイル含有量が高く、シェルコードバンならではの独特な深く柔らかな履きじわが楽しめます。そして美しい光沢もメンテナンス次第で追求することができます(この辺は日本人が最も得意であるが、しかし世界から見れば特異でもある)。

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ベジダブル染色ならではの色変化が素晴らしい

コードバンのエイジングは、色の変化を楽しむことも醍醐味の一つです。最もわかりやすい変化を見せてくれるのは、#8(ナンバーエイト)と呼ばれる通称ダークバーガンディーです。新品時は黒い革かと見まごうこともある濃い赤茶色ですが、使い込むに従ってボルドー色へと変化していき、さらには明るい小豆色まで持っていくこともできます。これは、植物染め(ベジタブルタンニン鞣し)された革ならではの変化で、化学薬品で染色されたクロム鞣し革ではなかなか見ることはできません。紫外線を浴びたり、履いて揉まれることで、染料に刺激が加わり色が変化するものと考えられています。
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ところが、この変化は、何も#8カラーのみならず、黒コードバンでも起こることがあります。黒コードバンは、染色すると何故かベースがグリーン色になることがあり、ロングスパンで育てる中で、色を一切加えずにエイジングしていくと、そのグリーンが現れることがあります。もしくは、茶芯といってもともとの革色が、黒の下から顔を覗かせることもあります。生真面目な日本人は、そんな変化を良しとせず、ついつい補色してしまいがちですが、天然の革を植物染めとしている証しを革自らが教えてくれているということを考えると、本当は補色することは勿体ないことなのかもしれません。(変化の仕方は個人差・個体差があります)
オールデンアルガンコンVチップ特集
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コーヒーブレイク。NATORIYAが手掛けたVチップ達

ここでNATORIYAが手掛けてきた歴代Vチップをご紹介しましょう。ここでは、私が実際に普段履いているVチップなどをご紹介します。実際にはさらに多くの別注Vチップも過去に作って来たのですが、全部をご紹介しきれませんので極一部ですが、ご覧ください。過去ブログやインスタなどで、NATORIYA+Vチップで検索して頂くと、もしかするとアーカイブが見られるかもしれません。当店でお求め頂いたVチップユーザーさんは、ぜひご自身のSNS等でご紹介頂けたら幸いです。今後も魅力的なVチップを別注してご紹介していく予定です。

オールデンアルガンコンVチップ特集
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定番のコードバンVチップに両脇を挟まれているのは、オールデン125周年記念で発売されたダークブラウンコードバンVチップ。二度と登場しない激レアモデルだ。

こちらはラベロコードバンの別注Vチップ。発売して一瞬でなくなったので、正直記憶が薄いです。発注しておいて唯一持っていないコードバン別注モデル(泣!)
オールデンアルガンコンVチップ特集コンビネーションVチップも何度か手掛けている。左はカーフのコンビネーション。右のアイレット付きモデルは、カントリーカーフをエプロンに乗せた特集品で、なんとストームウエルト仕様のレギュラーシングルソールである! 今では断られてしまう仕様です。
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ナトリヤベーシックモデルとして別注しまくって来たバーニッシュドカーフのダークタンVチップもいまだに人気が高い(デニムと合わせると超絶似合います)。これ以前は、ネバダカーフの定番モデルとして存在していたのだが、左右で色が違うなどのクレームが増えて廃盤となってしまった(一説には日本向けだけ作るのをやめたという噂も)。「でも日本人よ、天然皮革ってそういうもんでしょ? それとも厚化粧したものが好きなのか?」と欧米人に笑われてしまう始末である。なんとも残念な歴史もあったので思い出深い別注であり、別注で作り続ける理由でもある。

カーフ使用のバーガンディーモデルも存在した。これは、お客様からのリクエストをもとにデザインした別注で、2度ほど製造に成功したが、革がなくなってしまい3度目は叶わなかった。革のストックが積み上がったらまたリオーダーしたいモデルの一つ。

一部の熱烈なファンから愛されているスウェードのコンビネシーションVチップ。RODANIL FLEX(BURGUNDY) × SUEDE (MILKSHAKE)という組み合わせが、とても粋なVチップとして珍重されました。これも当時革がなくなってしまったという理由で再生産はできなかった。今後も作れる可能性は限りなくゼロに近い。持っている人は大切に履いて頂きたい。
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カーフスウェード仕様のVチップとしては異例のヒットを飛ばしたのが、この2足。左は別注モデルのネイビー×ウォーターロックソール。右は定番TAN×シングルレザーソール。どちらも何度も発注したモデルである。磨いても光らせられないVチップとして“影”の人気者となった。



カンタリーライクな表情のスウェードVチップで、フォレストグリーンにブラウンダイドエッジのレザーソールを組み合わせたモデル。


すべてをアルパインカーフで作ったVチップも別注で存在していた。ストゥームウエルト仕様が懐かしい。タフに履けるVチップとして今でも人気を博するモデルである。



レジーナグレインレザーを使ったVチップは、スーパーライトソールを組み合わせてカジュアルにガンガン履ける靴だった。柔らかくて履きやすいと評判だった。


クロムエクセルVチップも多く手掛けている。日本海側は悪天候日が多く、一説には年間の3分の2が雨または雪が降っているそうです。そんな中でもオールデンを履きたい! という願いを叶えるべく別注した。最近では日本全国から多くのファンがこのVチップを求めて買いにくるほどに成長した。コードバンVチップに負けず劣らずの人気を誇る実用的モデルである。




これもクムロエクセルだが、思いっきりカジュアルに振った作品。スーパーライトソールを組み合わせている。ヘビィステッチと呼ばれる特殊な縫い方をしたVフロントが特徴的。デニムと激烈似合う。




ネイビーのクロムエクセルも人気があった。やはり雨天で安心して履ける革というのは需要が高い。ネイビーに関しては、色ブレが多過ぎて、2回目は断念した。(ネイビーというよりブルーになってしまうことがあった為)

ナチュルクロムエクセルVチップも今では作ることができない別注モデル。オールデンがこの革のストックを再開すれば、また作ることができるのだが、いまところその兆候はみられない。


そういやこんなのもあった。クローンステッチVチップ。これは、二度と作れません。スプリットがないけど一応V型。

 

NATORIYAのお宝となっているモノ

インソックのデザインも、NATORIYA別注は3種類存在しています。どの刻印もオールデンで作ってもらったもので、初代のインゴットは当店に譲っていただきました。現在店頭でご覧いただけます。世界でたった一つの超希少なオールデンアイテムであり、当店のお宝です。
 

 
初代は都市名に「JOETSU(上越市)」と入っていて、2代目は「NAOETSU(旧直江津市にちなんだ)」に変わりました。実は3代目が、最も希少なインゴットでして、当店100周年記念モデルとなったアバディーンモンクストラップ・ラベロコードバンを製造していただいた時のみに使用しました。これは今でもオールデン本社に保管されているはずです。・・・捨てられてないよなぁ(汗)。



 

永遠のオールデン狂いNATORIYAからファンへ送るレクイエム

さぁ、いかがでしたでしょうか。Vチップの魅力にとり憑かれたんじゃありませんか? でもね、本当に取り憑かれるには、新品を買ってオーナーになってから、さらに数年が経過しなくてはなりません。1足購入して、いい靴だなぁと思うでしょ。2足目を購入しようってなるじゃないですか。するとやっぱりいい靴だったなぁと確証が持ってしまう。だったらもう一足と3足目を買ってしまうのがオールデンの恐ろしいところで、これを「オールデン沼」と我々は呼んでいます。「そんな沼に首根っこまで使っているお前が言うな!」と突っ込まれそうですが、私だけじゃなく、日本中、いや世界中にそんな泥沼にどっぷり浸かって溺れかけているファンの実に多いことか。まぁ、つまらんことにお金を使うくらいだったら、100年超えのブランドALDENの靴に投資した方が、その後の人生を大いに楽しめると思いませんか。

長年に渡りオールデンVチップを愛し、そして多くのファンに支持され愛され続けている理由の一端が、今回の特集で伝わったら執筆者として感無量です。




※執筆日 2023.6.29



 

Vチップカタログ

 
 
54321 Vチップ
シェルコードバン バーガンディー
オールデン 54321 Vチップ シェルコードバン バーガンディー
 
 

54331 Vチップ
シェルコードバン ブラック
オールデン 54331 Vチップモディファイドコードバン BLACK


54441 Vチップ
カーフ DARK BROWN
オールデン 54441 Vチップ カーフ DARK BROWN























 

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