Two very similar John Lobbs!!

The Prestige line type 7000
【特集】MANCHESTER と WREY 「似て非なる靴」

 
NATORIYAにあるションロブのUモックトゥシューズ2モデルがとても似ていると評判です。まるで双子のようだと表現する人もいます。確かに、パッとみた限りではよく似ています。一体どこが違うのか。それぞれを検証した特集ページです! ジョンロブ好きな人はもちろん、これからジョンロブを試してみたいビギナーさんにもわかりやすく解説します!

まずはモデル紹介から。向かって左の黒い靴はMANCHESTER!イギリスのイングランド北西部にあるマンチェスターからネーミングされています。有名なマンチェスターユナイテッドFCのある都市ですね。そして向かって右の濃茶色はWREY!ヴィクトリアンステッチが美しい靴です。 ひと目みただけでは何が違うの?となりますね。実はそれぞれいろんなところが違っていました。 



革はどちもオックスフェードカーフです。色は違いますけどね。すぐに気がつくのは羽根。レースステイ部分です。それでも靴に詳しくない人だと大差なく見えるかもしれませんね。WREY(左)もMANCHESTER(右)もどちらも外羽根型なので余計にそう見えます。ポピュラーな意匠となっているのはWREY。対するMANCHESTERは、V字を逆さにしたように羽根がついているのがわかると思います。デザイン的に変えてあるのはもちろんですが、そもそもアッパーの作りが全然違うのです。





横から見ると一目瞭然です。WREYは切り返しになっていて、前半分、後ろ半分の2ヒース構造。対するMANCHESTERはワンピース。またスラントノーズの形状もこうして比べると結構違っています。ストレートにつま先へスッーと伸びているWREY。緩くカーブを描いているMANCHESTER。微妙なスタイリングにも気を使っているのがわかります。



一般にUモカと呼ばれる靴の顔になっている部分も微妙に違っていますどちらも手縫いですが、WREYは、ヴィクトリアンステッチと呼ばれる繊細で美しい仕上げは見惚れてしまうほどです。スキンステッチが施されたMANCHESTERも職人技を堪能できます。ライトアングルモカと呼ぶそうです。どちらも高い技術力を持つ一流の職人が作業したとしても一日に4足が限界なんだとか。腕の見せ所であり、靴の所有者にとっても自己満足できる部分の一つと言えます。デザインに甲乙つけられるものではなく、それぞれが魅力を放っています。

そして、グルっと回してヒール部分。真後ろから見た時の造形は本当にそっくりで見分けがつきません。バックステイレスと呼ばれる縫い目のない高級靴のみに与えられる贅沢極まりない作りを堪能できる両靴には感動しちゃいます。ヒールカップの吸い付き具合も想像できるでしょう?


ところが少し斜めにすると僅かな違いを見つけることができました。それが画像の注目ポイント部分。WREY(左)は2ピース構造でレースステイ(羽根)とヒールカップが一体型となっているデザインで、縫い目がありません。MANCHESTER(右)は、インサイド部分に斜めに縫い目が走っていますが、冒頭で述べたようにワンピース構造ゆえに、ここでのみアッパーを接合しているのです。興味深いそれぞれの違い。どちらもすごく贅沢極まりない作り方で、一般的な量産靴には真似のできない構造をさも簡単に作りましたと言わんばかりにサラッと、しかし丁寧に仕上げてあるところには凄みを感じます。履き心地にも直結する部分のため、先ほどのモカデザインのように見た目でダイレクトに技を感じられないところにこそ職人技が潜んでいるのかもしれません。

ソール部分の違いはほぼありませんでした。どちらもプレステージラインの伏せ縫い手仕上げで、半カラス塗装が洒落ています。塗り方に若干の違いが見て取れますが、その時々で変えられる部分なので、塗り方には個体差もある部分ですが、手塗りでスッと塗り分けてあるのがわかります。普段目にすることのない部分ですが、こういうところにまで気を使ってくれているのは所有者にとって嬉しい気持ちにさせてくれる部分です。

いかがだったでしょうか。NATORIYAに並ぶ世界最高峰ジョンロブが作った二つのUモックダービーシューズの違いはなんとなく分かりましたか。写真では革の質感など、微妙なニュアンスを伝え切れていないと思いますが、ディテールの違いやシルエットは理解できたのではないでしょうか。兄弟モデルと言ってもよいこの2つの美しい靴は、Uモックダービー好きには選びようのない最高の2足となるでしょう。まさに両手に花状態です!




※写真撮影日と執筆日 2023.6.22