究極のアメリカンストレートチップ
オールデンが好きでどうしようもない人に向けて作った別注N2302。ALDENは、アメリカの靴ブランドということもあってか、純然たるフォーマルな靴はあるにはあるのですが、種類はそう多くありません。定番的にご紹介しているHAMPTONラスト907内羽根ストレートチップが、唯一該当する候補。しかし、もっとオールデンらしいテイストが欲しいと思ったとき、『・・・やはりあの素材で作っておきたいんだよなぁ・・・』との思いが沸々と湯水の如く溢れ出し、あぁ〜またやってしまった・・・。
あの素材とはもちろんシェルコードバン。はっきり言って冠婚葬祭メインで履くならカーフ(牛革)で十分なんですが、どうせ履くなら普段遣いもしてやりたい。履いても眺めていて磨いても楽しいコードバンで作りたい。そんな願望(欲望)が、別注HAMPTONバルモラルCAP TOEを生み出しました。オールデン狂の行き着く世界コードバン。まさに泥沼。とほほ。計画してから長いことかかりましたが、満足度の高い逸品!
N2302のディテール解説
Aldenのドレス専用木型といっても過言ではないHAMPTON。意外と汎用性の高いモデルで、キャップトゥだけでなくスリッポン、6インチブーツなども展開されたことがあります。N2302は、純然たるフォーマルの顔をした靴ですが、コードバンレザーを搭載したことで、深く滑らかな履きじわが生じてきます。このシワの表情がカーフとは全く異なるのです。ぜひ楽しみしていてください。
美しいシルエット。だがしかし、洗練され過ぎていない、ちょっと無骨さが垣間見えるところがオールデンの真骨頂です。Theアメリカ靴っぽいテイストがあちらこちらから匂っています。
ヒールカップも英国靴のそれとは異なり、緩やかなカーブを描いていて決して食いつくようなフィーリングではありません。大袈裟にいうとルーズ目のセッティングです。ただ、モディファイドを履いたことのある人はよくわかると思うんですが、決してヒールカップに足がフィットしていなくても問題ないのがオールデンだということ。あくまでアーチ(土踏まず)部分を中心にフィットさせて、シューレースでしっかり足を固定して履けば、1日中快適さを保ってくれるのが、オールデンの素晴らしいところです。とてもユーザーフレンドリーなんです。
シュータン裏も面白かったので写真を撮りました。3枚の革で構成されています。足にあたる部分には、牛革のパッドを縫い付けてあり、そのすぐ上にほんのり緑色に見える革がブラックコードバンの裏側の色です。黒コードバンは、なぜが緑なんですよね。また、シュータンがずれ落ちないようにインサイド部分で縦に細かいピッチで縫い付けてあります。ちょっとした思いやりですかね。シュータンの縁はピンキング(ギザギサカット)が施してあり、こんなところからもアメリカらしさを感じます。
ソール面はシングルレザーソールで、ブラックに塗装されています。ヒールは鍵型タイプを装着してあります。レザーソール面には、Horween Genune Shell Cordvanの刻印も(笑)カーフだとこの刻印はないんです。
Horween Genuine Shell Cordovan(ホーウィン・ジェニュイン・シェルコードバン)は、高品質な革製品の製造に使用される特別な皮革の一種です。”Genuine”(ジェニュイン)は英語で「本物の」や「真実の」といった意味です。”Shell Cordovan”は、特定の部位から取られる馬の皮革のことで、非常に耐久性があり、美しい光沢が特徴です。
したがって、”Horween Genuine Shell Cordovan”は、「ホーウィン製の本物のシェルコードバン」という意味です。ホーウィン(Horween Leather Company)は、アメリカ合衆国のシカゴに本社を置く歴史ある革製品メーカーで、彼らの製品は高品質で評価されています。
サイズ選びのポイント
内羽根バルモラルタイプということもあって、甲は比較的低めの設計です。また、ウィズはDですが、実際のところ他の木型に比べるとタイトです。写真の指で指し示している部分は、ちょうど小指がくる部分ですが、トゥのシェイプの関係もあって、いつものサイズだとここが当たる感覚になるので、ハーフサイズアップを選ぶよう推奨します。
僕も実際に履いてみることにしました。選んだのは9.5Dです。いつもは、バリーもモディファイドも概ね9Dを選んでいて、ミリタリーやアバディーンは9.5Dだったりします。素材によっても変わるから一概には言えませんけれど、足幅が狭い人、甲が薄い人を除いて、ハーフサイズ上げて選んで頂いた方がとても快適に履けると思います。特に靴がオールデンは、そもそもタイトに履かない靴ですから。気持ちよくゆったり履ければベストです。
羽根の閉じもご覧の通り。ほんのわずかに広がっていますが、内羽根なのでこのくらい閉じてくれていた方が断然シャープです。
常連のお客様にも試してもらいました。いつもオールデンだと7Dですので、まずは、7Dを履いてみて頂きました。
少し羽根は開き気味ですが、まぁギリOKかなとも言えます。オールデンの無骨なシルエットが許してくれるんでしょう。これはこれでアリですね。
7.0Dと7.5Dの両方を履き比べて頂きました。羽根が開いてもいいなら7.0Dでもいけるかなぁと言っていましたが、バチっと閉じたスタイルで履くならハーフサイズアップして7.5Dがベストでした。履く時の注意点としては、土踏まずを合わせてやりつつ、カカトもフィットさせてあげながら、シューレースをしっかり締め上げます。そうすることで、靴内部で足が前後に動かずしっかりとホールドできるので、多少ゆとりがあったとしても全く問題なく、しかも美しく履くことができるのです。
どうです? いい感じでしょう。特に甲の高めの人だったら尚更ハーフサイズアップがお勧めです。いい感じのフィーリングとシルエットで履くことができました!
ブランド | 木型 | 素材 | |
お勧めのソールカスタム
レザーソールは、しなやかで通気性がありドレスシューズとして理想的なソールです。しかし、いざ実用履きしようとすると雨は降るわ、Pタイルは滑るわ、冷や汗が出るシーンもあります。そんなリスクを軽減するのが、ハーフラバーソール加工。さらにN2302は、ヒールも革なのでラバーヒールに交換するのも滑り止めとして効果的。さらに、つま先へトゥスチールを埋め込めば、耐久性も数段アップします。デイリーでもタフに履いて楽しみたい! という人は、ぜひカスタムをご検討ください。
シェルコードバンの防水
コードバン素材は、美しい輝と履きじわが魅力の靴ですが、唯一心配なのが雨によるダメージです。昔は、コードバン=雨天使用禁止だったのですが、最近はオールデン社自ら優れた防水剤を発表してくれました。それがレザーディフェンダーです。これさえあれば、100%とまではいえなくともかなりの確率でコードバンを雨水から防いでくれます。
N23302の写真集
N2302のスペック
木型 | ハンプトンラスト | Dウィズ |
素材 | シェルコードバン | ホーウィン |
底材 | シングルザーソール | 出し縫いグッドイヤー |
ソール厚 | フロント9mm | ヒール25mm |
重量 | 497g | (サンプル8.1/2d) |
内装 | フルレザーライニング | |
中敷 | NATORIYA×ALDENダブルネーム | |
ハトメ | 5穴 | |
靴紐 | ロウビキ丸 | |
製造国 | アメリカ |
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