VIBERG製ボックスボード・シェルコードバン仕様Uplandsの魅力に迫る!

カナダのシューメーカー「VIBERG」社で作られたハイエンドチャッカブーツUplands(アップランズ)の魅力を語る特集ページへようこそ。このページでは、世界的に希少な製法と革を使って作られた最高峰チャッカブーツを解説します。どっぷりとこのブーツの世界に浸ってください!

そもそもVIBERGとは

VIBERG (ヴァイバーグ)とは、1931年にカナダで創業された老舗のブーツファクトリーブランドです。創業者の名前をそのまま取ってVIBERGと名付けられました。同族経営が続いており、現社長で5代目となるBrett VIBERG氏が率いています。当店とのつながりは、別の特集ページにも書きましたが、VIBERGから直接打診があり、取引を開始した経緯があります。

Uplands登場

こちらのモデルは「Uplands (アップランズ)」と呼ばれるハイエンドchukka bootsです。革にはBrett VIBERG氏自らHorween社長Skip氏に製造を依頼して実現させた「Boxboard shell cordovan Mahogany」を使用しています。現在VIBERG社の実質的なエクスクルーシブレザーとなっているそうです。この革の特徴は、まずなんと言ってもホーウィン謹製のシェルコードヴァンレザーであることと、Pioneer Reindeerと呼ばれるプレートを使用して作られた独特なシボが特徴です。一見すると、コードバンに見えない革なのですが、履き込んで、磨いてやると明らかにシェルコードバンのそれであることが分かると思います。

秀逸な2030Eラスト

木型は、名作Rocklandと同じ「2030E」ラストを使用したチャッカブーツモデルになります。ゆったりとした表情のラウンドトゥで、ふっくらとした程よいボリューム感も魅力的です。

バックステイはご覧の通りオーセンティックなスタイリング。チャッカブーツらしい程よいゆとりと適度なホールド感を楽しめます。メンテナンスもしやすそうな飽きのこないディテールもGood。

ただし、強靭な作りのブーツですので、履き慣らし中は足首を中心に格闘する日々が続くことでしょう(笑)何しろコスト度外視のシャーシ構造と超肉厚なボックスボードシェルコードバンを組み合わせたチャッカブーツです。履いてすぐに馴染むような柔なブーツとは一味も二味も違うわけです。

シュータンをご覧いただくとよく分かりますが、この厚みです(笑)馴染むまでの時間は致し方ありませんが、その分頑丈さが伝わってくるシーンです。

レースステイのエッジは、玉出し加工を施してあり切りっぱなしではありません。細部まで手抜かりのない丁寧な仕上げ。そして、オールアラウンドのダブルウエルト仕様は、防水性を高めてくれるスプリットウエルトで全周囲を補強しています。L字ウエルト自体にもピンキングを施す手間のかけよう。

このギザギザとした部分がそれです。これがあることで、レギュラーウエルトよりも防水性は高まると言われています。

根幹を司るシャーシ構造

VIBERGが、chassisに採用しているのが写真中央の部品チャネルドインソールです。一般的な高級靴は、インソールの革厚を約3mm前後で設定するそうです。しかし、VIBERGは、その倍の6mm!。それには理由があって、一枚の革から非常に手間のかかるチャネルドインソールを構築するために6mmもの厚さが必要なのだそうです。これもVIBERG特集ページで詳しく解説していますので、ご興味のあるひとはご覧ください。

こちらは、フロント周りの実際の靴の断面です。肉厚なフットベッドレザーの下にはコルクペーストが敷き詰められていて、その下にこれまた肉厚なミッドソール、そしてラバーソールが装着されています。

Brett VIBERG氏に聞いたところメーカー推奨で述べ30日を履き慣らし期間としているそうです。欧米の人達と日本人との根本的な靴分の違いに「日本人は靴を脱ぐ文化」があります。私はこれを考慮して60日間履き慣らしすることにしました。とにかく履きました(笑)履いて履いて履きまくりです。

たとえば、これを週に1日だけ使用して延べ60日になるまでには、約13.86ヶ月、つまり約1年2ヶ月弱の期間が必要となります。実際の生活では、この期間は休日や特別な日を考慮すると若干変動する可能性がありますが、おおよその目安として、1年と2〜3ヶ月程度と考えることができます。(メーカー推奨30日で計算するは半年から8ヶ月でしょうか)

しかし、履き馴染んできた頃からVIBERGの履き心地の良さが本領発揮してきました。もうかなりヤバイくらいいいです。手放せない(笑)フットベッドも私の足形に沈んで馴染んで来たから余計にスペシャルフィットを堪能できます。フィッティングは、さほどシビアではなくて、キツすぎず緩すぎない、適度なフィーリングでOKだよと教えられたので、そのように履いています。今のところなんの問題もありません。

こちらはリア周りのシャーシ構成。真ん中にある板はブナ材から削り出されたシャンクです。これが歩行の時に気持ちいいフィーリングを生み出してくれるんです。最新の靴に関する話題では、フットベッドにスポンジ等を使用した柔らかいインソールを追加するトレンドが、革靴にも来ているのですが、確かに履き降し直後から快適なので非常に喜ばれる反面、人体への悪影響が懸念されているという報告もあります。人類が誕生してからつい最近まで素足で地面を歩いて来た人の足は、スポンジやウレタンのような柔らかい路面で生活するようには作られておらず、ある程度しっかりとサポートしてくれるフットベッドの方が、健康的な足腰でいられるそうです。そして、化学繊維系は数年で劣化してしまい修理不能ですが、天然素材の革で作られたフットベッドは劣化がほぼありません(適切な取り扱いをしている前提で)。まぁ、最初の履き慣らしは、どうしても必要ではありますけれどね。

日本の路面にベストマッチのソール

ソールは、本国ではいくつかあるようですが、日本ではイギリスのHARBORO社製RIDGEWAY SOLE (リッジウェイ)を組み合わされています。このソール本当によくマッチしてくれて、歩行が楽しいです。数mmあるV字状態のゴムのトレッド面には、さらに細かなサイプが施されていて、ハイグリップでありながらコンフォータブルなクッション性を確保しています。同社のソールでは、ダイナイトソールが有名ですが、このRIDGEWAY SOLEも素晴らしいソールです。コンパウンドも硬すぎず柔らかすぎずの硬度79Aです。

加硫ゴムを採用しており、耐久性も抜群。トレッド面のサイプがすり減ったとしてもV字部分でまだグリップしてくれるので、見た目以上に持ちの良いソールと言えるでしょう。滑りにくさでは、ダイナイトソールを上回ると思います。

ちなみに、79Aや89Aの硬度は比較的硬い範囲に属します。この「A」とはデュロメータータイプAを指します。

  • 60-80: 硬めの感触(例:軟球)
  • 80-100: 非常に硬い(例:硬球、ゴルフボール)

革の表情変化もめっちゃ楽しい!

画像の右は、私が愛用しているRocklandで、おおよそ60日間履いた状態です。履き皺をご覧頂ければわかるようにゆったりとした滑らかな皺が甲に入っているのが分かります。牛革のシワとは一線を画する独特の表情を楽しめます。しかも、VIBERGにしかないシボの表情。そしてマホガニーの染色変化も同時に楽しむことができるでしょう。この辺りは、馬革コードバンならではの面白さであり、コードバンシューズを好きになる最初のきっかけとなる部分かもしれません。

また、わたしは雨天も気にせず履いているので、多少ウォータースポットが浮き出ています。でも、それは簡単に消すことが可能です。また、オールデン社が発売しているレザーディフェンダーを複数回塗布することで、圧倒的な防水性を確保することも可能です。この写真撮影の後で、防水処理を始めてすることにしました。最初からすればよかったのにと言われましたが、ウォータースポットを見て頂きたかったので、あえて素の革の状態で履いてみました。意外と大丈夫でしょう? シェルコードバンって強い革なんです。

Uplands総括

とまぁ、色々とUplandsの魅力について語ってみましたが、いかがだったでしょうか。この靴は、カナダ本国でも極わずかしか生産されておらず、日本で入手するのは極めて難しい状況です。将来的にはどうなるか分かりませんが、シェルコードバン自体が少なくなっている現状で、このような特注レザーをホーウィン社がバンバン作るとはなかなか考えられません。安定供給できる時代はくるでしょうか。期待するしかありませんね。

究極の作りと究極の革が北米の地で融合し、なんの縁あってか日本の田舎町で直接販売できる機会を得られたのは幸運と言わざるを得ません。そんな幸運を纏ったVIBERG Uplandsをぜひ当店の靴好きファンにも味わって頂けたら嬉しいです。

まさに、一生物で使える最高のチャッカブーツがここにあります!

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